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♡ 瀬ができた ♡

 富士川中流域は、主にはアユの漁場です。ただし、河床材料の粒径は砂から一抱えもある巨礫まで色々あるものの砂が多い川で、これは南アルプス側の土砂生産が多いことによります。

 

 土砂生産量が非常に多く、流下断面が不足することもあり、富士川流域では砂利採取が20カ所以上で行われ、河砂利採取量は1,441,764㎥、なんと全国の21.3%を占めてダントツの(嬉しくない)1位です(経産省:令和4年度砂利採取業務状況報告書)。

 

 

 砂利採取は、瀬回しに伴う濁りの発生や採取された石の消失により漁場環境を悪化させます。地域の重要な産業ではありますが、漁業関係者にとっては大変頭の痛い問題です。

 

 以前はこんな状況も見受けられました。

 

 砂利採取では、粒径にかかわらず河原の土砂が採取され、採集が行われた場所は、出水時に流れに晒されることもあった従来の河原表面に比べ、粒径が小さくなってしまいます。

 砂や砂利は数年もたてば供給されますが、こぶし大から人頭大の石が採取されると、それらが供給されるのは数百年から千年単位になると言われています。

 

 そんなとき、「実はこれまで蛇籠用に使っていた人頭大の石が、需要が減ったため置き場に困っていている。」との情報がありました。そこで、河川管理者である国土交通省関東地方整備局甲府河川国道事務所富士川中流出張所、砂利採取業者、富士川漁協、県水産技術センター、県漁連で協議を進めた結果、一時保管された石を再び河川に戻すことができました。

 

 ご覧ください。

 

 事前

 

 施工中

 

 事後

 

 見事に瀬ができあがっています。

 

 オマケで真上から

 事前

 

 事後

 

 とても良く仕上がっていると思いますが、先に延べたとおり富士川は土砂生産が多く、出水により流路が大きく変わります。加えて元々の粒径が小さいトロ瀬に荒瀬を造成しています。今後流路が変わったり、石が埋まったり流されたりする可能性もあり、出水後の変化がとても気になるところです。

 

 

 瀬の上流には、深みもでき、稚魚の好む休憩場になりそうで、今後の河川環境の変遷がとても興味あるところです。

 

 

  今回の事業は、富士川漁協の要望に対し、利害関係者が真摯に対応していただいた結果、このような WIN WIN の事業につながったと思います。

  引き続き県漁連でも、河川環境の保全復元に努めて行きたいと思いますので、皆様のご協力をよろしくお願いします。

 

  さて、この瀬にアユが居着いてくれるかどうか、今シーズンは大変楽しみになりました。

2025年4月10日(木)

山梨県の釣り情報|山梨県漁業協同組合連合会

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