場環境保全の活動 その18 第6回合同パトロール
令和3年5月に峡南建設事務所身延支所の提案で始まった合同パトロールも6回目、令和3年度の最後になります。
いくつかの現場をパトロールしたのですが、今回のレポートはその中のうちの2つをご報告します。
○ 雨畑ダム下流、雨畑川の床固工の新設工事
令和2年7月に雨畑ダム上流の稲又谷川で発生した大規模な土砂崩落により、ダム湖に大量の土砂が流下・堆積しました。ダム湖畔の集落を災害から守るため、この土砂の搬出が急がれているところです。
この土砂の搬出は、ダム湖畔からダム下流までトンネルが掘削してあり、ここをくぐり抜けた後、雨畑川沿いの設置された仮設の搬出路で持ち出されています。
(参考)https://www.yamanashi-gyoren.com/archives/47
この搬出路の設置で河川幅が狭くなったこと、発電休止により流量が増えたことから、雨畑川の河床レベルが低下してしまいました。そこで、さらなる低下を防止するため、今回見学した床固工が設置されることになったそうです。
床固工の天端は、旧河床レベルで設置されるのですが、河川横断工作物ですから流路の切り替えを上手くしないと、濁りが常時発生してしまいます。そこで発注者である日本軽金属に「ダム湖内での作業と同様に切り替える先の低水路を事前に掘削しておき、できるなら洗掘されそうな箇所には巨石をおいて、濁りが発生しないように」依頼をしてきたところです。
今回その現場を見学したところ、極力濁りの発生を抑制するため、現場監督も含め作業を行っていることが良く分かりました。また、瀬替えした流路は現在工事中のため魚がいる状況ではありませんが、最終的には巨石を使用した石積の水制工などが設置され、魚類の生息環境への配慮がなされる予定になっています。
次の図にあるとおり事前に流路を掘削した上で、瀬替えを3回して施工することになっています。それでも瀬替え時には濁りが発生すると思いますが、ここまで濁りの発生防止に配慮された施工であれば有り難い限りです。
河川工事における理想的な施工とすれば、順番に
① 流路を変更せずに、現在の環境が保たれること
② 濁りが発生しない施工、工法を採用していること
(参考)https://www.yamanashi-gyoren.com/archives/137
③ 濁りは発生するが、極力沈殿させて、その程度や期間を軽減すること
④ 濁りを軽減させる努力をしないこと
になると思います。
また、①より上に、良好な環境であった以前のような状態に、投石や淵の造成で復元再生させる。ことも実は不可能ではないと思います。なぜなら「河川環境の整備と保全」は、河川法において「治水」、「利水」と同様に河川管理者に課せられた責務です。
さて、気をよくして次の現場を見ていると、なんだか先ほどより濁りがましています。上流で河川工事は行われていないはずなのですが? 急遽予定を変更して稲又谷第3砂防ダムまで向かうことになりました。
現場へ着いてみると川の真ん中でユンボが作業中。ア~ 泥濁りの発生作業中です。
この工事は、ダム直下にある土石流で破損した東京発電(株)雨畑発電所の稲又谷川取水口の仮復旧工事でした。
コルゲート管を入れるなり、ポンプをかけるなりして水を回せばここまで濁ることはなかったのに、既に後の祭りです。作業自体がもすぐ終わるとこだったので、今後は濁りを発生させないよう要望を行い、了解を得ました。悪気があってやっていたわけではないと思いますので、今後はもう少し早くかつ確実に関係者へ要望を出す必要があることを痛感しました。
ただし、この取水により、現在雨畑川水系の濁りの発生の主要因となっている稲又谷川の流量が減少すれば、平水時の濁りの発生がかなりの程度抑制されることが期待できます。引き続き今後の状況を見守ってゆきたいと思います。
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