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漁場環境保全の活動 その7 河川管理者のパトロール

 令和3年6月23日に関係者で行った河川巡視において、雨畑川で酷い濁りが確認されました。一方、雨畑川に流れ込む支流の稲又谷川で濁りは認められませんでした。雨畑川の上流で濁りを発生させる工事等は無いことから、その原因は不明でした。

このため2日後の625日に峡南建設事務所身延支所の担当者の方が、その発生源を明らかにするため現地踏査を行っています。今回その情報をご提供いただきましたので、報告させていただきます。

7-1.jpg雨畑川上流の調査箇所

 

① 御池の沢付近
 雨畑ダム上流の御池の沢合流点付近で、雨畑川の濁りの状況について確認したところ、透視度は10cm以下で、前回623日と同様な濁り方をしていた。

 

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灰色の濁りが確認できる


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透視度9.8cm(①10.2、②9.4

 

② 稲又川橋
 稲又川橋の上流には「八潮崩れ」という崩壊地があり、昨年7月に土石流が発生している。この土石流により稲又川橋上流にある稲又第3堰堤が被災し、応急対策工事が先日まで行われていた。

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川の水はやや白いものの透視度は30cm以上あり、崩壊地や復旧工事による影響は、ほとんど認められない。

 

③ 中間部

稲又川橋から下流の雨畑川合流点に向かったところ、中間付近で川が白く濁ってきた。計測したところ、透視度が19.8cm(①21.3、②18.4)まで低下していた。


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やや白く濁ってきた


 このあたりから澪筋が網目状になり、水位変動に伴い流路の変化する状況が伺われる。

 

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 澪筋が網状で、固定していない状況

 

④ 合流点

稲又谷川が雨畑川へ流れ込む合流点では、稲又谷川の水が滞留し、濁りが停滞する状況が認められた。

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左から稲又谷川の濁水が流入している。雨畑川は手前が上流、上方が下流

 

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合流点下流の透視度は9.2cm(①9.2、②9.1)で、御池の沢付近とほぼ同じ

 

これら4箇所の調査により、稲又川橋で濁りが無くても雨畑川合流点までの間で、人為的影響によらず、流下に伴う濁りが自然に発生していることを確認した。

 

以上が峡南建設事務所の現地調査の結果です。

 

網状流路とは、河川の流路が複数本に別れて流れている状態ですが、これは土砂供給が多かったり、川幅が広がり水深が浅くなることで運搬されてきた土砂が堆積するような場所に良く発達します。稲又谷川は昨年の土石流により河床が数メートル上昇し、現在でも土砂が盛んに移動している状況です。このため雨畑川の合流点付近で勾配が緩くなり、土砂が堆積して網状流路となり、流路の変化等により濁りを発生させていると推定されます。

人為的作用でなくこれだけの濁りが発生していることは、土砂生産の多い河川であることを理解していたつもりでも、かなり驚きの出来事でした。

ただし、御池の沢周辺雨畑川の透視度が623日に5.4cmであったのが、2日後の625日には9.8cmと改善されていました。透視度が改善した理由として、雨畑の雨量観測所で61520日にかけて70mmの累積雨量を観測していることから、降雨後の減水による状況の改善が考えられますが、それ以外に先日まで行われていた復旧工事の影響、測定誤差や変動の範囲内であったことも想定されますが、その原因は特定できていません。

また、上流の崩壊地や砂防堰堤上流の流出土砂の調節区域では濁りが発生せず、稲又谷川の下流でだけ、なぜ濁りが発生していたのか? など確認すべき点は、未だ多く残っています。

これらのことから、引き続き関係者と連携して、濁りの現状確認を進め河川環境の改善を図って行きたいと思います。

 

(この調査の後、梅雨が続き早川流域では累積で200mm以上の降雨があり、現在でも水位が高く濁った状態が続いています。このため、上記状況の継続的な確認はできませんでしたが、リセット後の早川の状況がどうなるか、注視して行きたいと思います)

2021年7月13日(火)

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